東京高等裁判所 昭和27年(う)4097号 判決
原判決はその認定事実に対する証拠として被告人の公判廷における自白以外に被害者の被害届、供述調書等を掲げているが、原審第二回公判調書の記載によれば、右各補強証拠については之が証拠調をしたことは窺うに足るが、証拠調を為すに至る前提についての記載を欠いている。然るに刑事訴訟規則第四十四条によれば刑事訴訟法第三百二十六条の同意については公判調書の必要的記載事項と規定されているのであるから其の点の記載を欠いている本件については右各補強証拠について刑事訴訟法第三百二十六条の同意があつたものと認めるに由なく其の他原審が之を適法に採証の用に供し得るという根拠を発見することができないから原審が右被害届、供述調書等を採証の用に供したのは違法の措置といわなければならず原審は被告人の自白のみで有罪を宣したことにもなるから結局此の点において論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。